
この記事の要約
プラスチックのリサイクルを中心とした環境事業を展開する「株式会社esa」が、ベトナム政府系アクセラレーションプログラム「NIC Scale X」に採択された。
近年、ASEAN地域では製造業集積の拡大に伴い、工場やサプライチェーンから発生する産業系プラスチック廃材の資源循環ニーズが高まっている。
同社は、日本国内で培ってきた複合プラスチックのマテリアルリサイクル技術と事業開発の知見を、ASEAN地域へ展開していく。
ベトナムを起点に、現地パートナーとの事業連携可能性の検討などを通じて、海外戦略を加速し、新たな循環型インフラの構築を推進する。
プラスチックのリサイクルを中心とした環境事業を展開する「株式会社esa」が、ベトナム国家イノベーションセンター(Vietnam National Innovation Center、以下「NIC」)が主導する政府系アクセラレーションプログラム「NIC Scale X」に採択された。
近年、ASEAN地域では製造業集積の拡大に伴い、工場やサプライチェーンから発生する産業系プラスチック廃材の資源循環ニーズが高まっている。
特にベトナムでは、EPR(Extended Producer Responsibility:拡大生産者責任)、サーキュラーエコノミー、ESG、トレーサビリティ、プラスチッククレジットなど、資源循環に関する制度・市場形成が進みつつあるという。
esaにとってベトナムは、単なる市場進出先ではなく、製造業由来のプラスチック資源を再び素材として循環させる「Industrial Circularity(産業資源循環)」の実装可能性を検討するうえで重要な地域だ。
今回のNIC Scale X採択は、esaが日本国内で培ってきた複合プラスチックのマテリアルリサイクル技術と事業開発の知見を、ASEAN地域へ展開していくための重要なマイルストーンになると位置付けている。
ASEANに広がる製造業集積と、産業系プラスチック廃材の資源循環ニーズ
近年、ベトナムは「China+1」戦略における主要な製造拠点として存在感を高めており、包装材、電子部品、半導体関連、FMCG、プラスチック加工など、多様な製造業の集積が進んでいる。
一方で、製造業の拡大に伴い、工場やサプライチェーンから発生するプラスチック端材、複合プラスチック、包装資材などの産業系プラスチック廃材の適切な資源循環は、今後ますます重要な課題になると考えられる。


近年、中東情勢や国際的なエネルギー価格の変動、石化サプライチェーンの不安定化などを背景に、プラスチック原料の安定調達は企業活動における重要なテーマとなっている。
再生プラスチックは、従来の「環境配慮素材」から、資源調達リスクに対応する“戦略素材”へと位置づけが変わりつつある。
資源をサプライチェーン内で循環させ、原材料調達リスクを低減する「Resource Security(資源安全保障)」および「Supply Chain Resilience(サプライチェーン強靭化)」の観点からも、その重要性は高まっている。
esaは、複合プラスチックの再資源化技術を基盤に、企業・自治体・研究機関・海外パートナーとの連携を通じて、再生材の品質向上、用途開発、導入拡大に取り組んでいる。
今回の採択を通じて、ベトナムを起点としたASEAN地域においても、製造業と資源循環をつなぐ新たな循環型インフラの構築を推進していくという。
esaは、NIC Scale Xへの参加を通じて、ASEAN地域における海外戦略を加速し、以下の取り組みを考えている。
ベトナム国内の製造業、工業団地、包装・成形加工関連企業、素材メーカー等との接点形成を通じて、現地で発生するプラスチック廃材の種類、量、処理方法、再生材活用ニーズの把握。
NIC、MRI、UNDP関連施策等とのネットワークを活用し、現地企業・行政機関・研究機関・投資家との連携を推進。
製造業由来のプラスチック廃材を、再生材・製品・環境価値へと接続する循環モデルの構築に向け、トレーサビリティ、再生材品質、用途開発を含めた実証検討。
ベトナムを起点に、ASEAN地域における資源循環・再生材活用ニーズを捉え、esa methodおよびRepla®の海外展開可能性の検証。
株式会社esa 代表取締役 黒川 周子 コメント
「資源をつくる産業」としてのリサイクルを、ASEANへ
「このたび、ベトナム政府系アクセラレーションプログラム『NIC Scale X』に採択いただいたことを、大変光栄に思います。
これまでプラスチックリサイクルは、『環境負荷をどう減らすか』という文脈で語られることが多くありました。しかし今、その役割は大きく変わりつつあります。プラスチックは、包装、建設、自動車、電子、医療など、あらゆる産業を支える基幹素材であり、その循環は単なる環境対応ではなく、産業競争力や経済安全保障、サプライチェーンの強靭化にも直結するテーマです。
ベトナムをはじめとするASEAN地域では、製造業の集積が進む一方で、工場やサプライチェーンから発生するプラスチック資源をどのように循環させていくかが、今後ますます重要になると考えています。esaが取り組んできた複合プラスチックのマテリアルリサイクルは、単なる廃棄物処理ではなく、製造業の中で生まれた素材を、再び産業の中へ戻していくための基盤技術です。
今回の採択を契機に、Yuki Circular Factoryを通じて培ってきた『資源をつくる産業』としてのリサイクルの思想と技術をASEAN地域にも広げ、国境を越えて資源が循環する仕組みの構築に挑戦してまいります。
プラスチックは問題ではなく、使い方と循環の設計次第で価値に変わる素材です。
esaはこれからも、“withプラ”の思想のもと、日本国内のみならずASEAN地域においても、持続可能で強靭な産業基盤の実現に貢献してまいります。」
NIC Scale Xについて
NIC Scale Xは、ベトナム国家イノベーションセンター(Vietnam National Innovation Center:NIC)が主導するアクセラレーションプログラムです。
NIC、UNDP、日本政府、三菱総合研究所(MRI)、Plug and Play等の連携により推進され、ベトナムと日本のイノベーションエコシステムの発展、スタートアップの事業成長、企業・投資家・行政機関等との連携促進を目的としています。
重点領域には、クリーンエネルギー、スマートファクトリー、産業イノベーション、IoT、サステナビリティなどが含まれており、採択スタートアップには、メンタリング、事業開発支援、ネットワーキング、デモデイ等の機会が提供されます。
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