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第0回 プロローグ

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気候変動、資源循環、サステナブル製品、環境表示など広範囲に渡るEUの環境規制。ともすれば無機質で難解なものに捉えられてしまうことも。けれどもEUの環境規制が世界的に影響することは少なくありません。今のEUを知ることで日本企業の未来を予想する。この連載では、その手がかりとして2020年から2024年までの「欧州グリーンディール」を取り上げます。


はじめまして。米久保 秀明(よねくぼ ひであき)と申します。この連載では、「欧州グリーンディール」について解説してまいります。今回はそのプロローグとして、なぜこのテーマを取り上げるのか、私自身の想いや背景をご紹介させてください。

欧州との接点と情報発信の原点

私は2025年4月に株式会社esa (イーサ 以下、esa)に入社いたしました。前職の化学メーカーでは、ドイツ駐在を3年8か月経験。EUのサステナビリティ動向の調査・発信業務に携わる中で、途中の2年間はブリュッセルにあるNPO法人JBCE(在欧日経ビジネス協議会)で、事務局員としての仕事を兼務しておりました。JBCEは100社以上の日系企業が参加し、EU政策への提言や理解促進を目的とした組織です。私の担当は主に気候変動・エネルギー関連のワーキンググループの立ち上げと運営でした。

欧州グリーンディールの元で、次々とEUが新たな環境政策を打ち出す中、私はまさにその渦中にいて、手探りで情報を追い、試行錯誤しながら理解を深めていきました。

ブリュッセル・欧州委員会のベルレモン前にて

欧州グリーンディールは「教養」であり「未来予想図」

EUの環境規制は、ともすれば無機質で難解なものに見えがちです。特に日本の企業や担当者にとっては、「対応しなければならない面倒な規制」として捉えられることも多く、私自身、そうした反応を数多く目にしてきました。

でも、それは本当にもったいないと思っています。

私がこのテーマを連載で取り上げたいと考えた理由には、2つの意味があります。

① 欧州グリーンディールは、環境の「教養」として最適な素材であること

広範囲にわたるEUの環境規制は、気候変動、資源循環、サステナブル製品、環境表示など、多様な概念の宝庫です。これらを知っておくことで、今後の動向も理解しやすくなりますし、背景にある思想や優先順位も見えてきます。2025年からは新しい欧州委員会体制で打ち出された「クリーン産業ディール」という新しい環境関連の計画に入りますが、2020年から2024年までの「欧州グリーンディール」の内容がその土台であることに変わりはありません。

② 日本にとって「未来予想図」になりうること

連載の中でもご紹介しますが、「ブリュッセル効果」と呼ばれる現象により、EUの規制が世界に広がるケースは少なくありません。特に、ライフサイクルやサプライチェーン全体に及ぶEUの環境規制は欧州グリーンディールの中でも発表され、数年後には日本企業も対応を迫られる可能性があります。つまり、今のEUは日本企業の「数年後の姿」を映す鏡であり、規制に追われるだけでなく、そこにビジネス機会を見出すためのヒントが隠れているのです。

【図の出展】「What is the European Green Deal?」欧州委員会(2019/12/11)

「規制対応」から「機会探索」へ

EUでの仕事を経験している中で、私はこんな言葉をよく耳にしました。

「サステナビリティは、製造業にとっては負担なだけでしかない」
「本日はEUの動向を知ることができて、大変勉強になりました!」

後者は一見前向きなコメントのように思えますが、そこに行動は伴っていないことが多く、情報のインプットだけで終わってしまうケースが少なくありません。

一方で、実際にサステナビリティを「機会」として捉え、本気で取り組んでいる方々と出会ったときには、全く違う姿勢を感じました。

「来年7月までに○○の事業を立ち上げる予定です。EUの××に関する最新情報を継続的に知りたいので、次回の欧州出張にも同行いただけませんか?」

このような方々には、明確な行動と目的があります。

思えば、私がesaに加わろうと決断した理由のうちの一つは、esa創業者達との会話の中で、そういうマインドセットを持っていると感じたからです。それは、サーキュラーエコノミーは日本の企業や社会にとって変革や成長の機会であり「自分自身が立ち上がって行動せずにはいられない」「良いインパクトを与えたい」という情熱です。

難しいEUの環境規制を、少しでも「読めるもの」に

とはいえ、EUの環境政策はとにかく数が多く、複雑です。最初から全体像を掴むのは簡単ではありません。だからこそ私は、少しでも理解しやすく、ストーリーのある形でお届けしたいと思いました。

ただ制度を説明するだけの解説ではなく「絵が浮かぶような読み物」として私自身の経験も交えながら感覚的にも掴めるような連載を目指します。

そして、もし今すぐに活用する機会がなくても「あの時の連載、何か参考になるかも」と思い出していただけるような、そのような「帰ってこられる場所」として残る連載になれば嬉しいです。

今後の連載内容は、前半で欧州グリーンディールに関する気候変動・エネルギーを、後半ではサーキュラーエコノミーをテーマに解説いたします。esaはプラスチックのマテリアルリサイクルの企業であることからサーキュラーエコノミーについては特にプラスチックが関係する環境規制を中心に、お伝えいたします。

皆さまのヒントや気づきとなるような連載を目指してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

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米久保 秀明

2005年に東京大学大学院修了。キヤノン株式会社入社後、レーザービームプリンタの製品開発に14年間従事。その後、旭化成株式会社で資源循環に関するプロジェクトに従事し後に、ドイツに駐在。4年弱の間、欧州におけるサステナビリティ全般の動向調査に携わる。うち2年間は、ブリュッセルのNPO法人であるJBCE(在欧日系ビジネス協議会)にて、気候変動ワーキンググループ担当の事務局員を兼務。2025年4月より、プラスチック資源循環を推進するスタートアップ、株式会社esaに参画。

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