
世界有数の森林面積を持つ日本だが、森林の管理や保護に課題が山積している。効率よく木材となる針葉樹に偏った植生と過剰な伐採が行われたのち、需要が減少。地方の過疎化と人口減少も重なり放置され、荒廃した。密集すれば陽があたらず、風も通らず、木々の病気につながり、野生動物も暮らせない環境となる。自然災害や火災のリスクも見過ごせない。
40年に渡り課題と向き合ってきた、長野県信濃町黒姫にあるアファンの森を訪ねた。ウェールズ生まれの故C.W.ニコル氏が私財を投じた森であり、いまは遺志を継ぐ一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団が再生に取り組む。彼らが目指すのは絶滅危惧種も含めた多様な野生動植物が暮らせる環境づくり。かつて日本の山間部では当たり前にあった里山の姿を再現し、カタクリやアズマイチゲ、絶滅危惧種のエビネランが自生する多様性のある生態系を保っている。ツアーやワークショップ、グッズの販売で、森林保全の啓発と経済的持続性をも実現する。多様な活動を支えるのは、地域住民や地元の企業、会員のサポートだ。自然に境界線がないように、多様なプレイヤーに扉を開く。
「アファン」とはウェールズの古い言葉で「風の通るところ」の意だが、森の状態だけでなく、ひらかれた財団のあり方そのものを表すようだ。雪に残る動物たちの足跡を前に、ふと思った。
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