
日々進化するAI。
ものすごく便利な部分もありつつ、どんなふうに使っていけると良いのか?
衣・食・住といった「暮らし」につながる観点で、個人的な活用シーンや得られた気づき、世の中の「暮らし」に関わるAI活用事例などを発信する連載コラム。
vol.7は、「体験を通じた記憶定着」をテーマにAI活用についてお話します。
こんにちは。杉さんです。
最近のAI進化は引き続き激しいですよね。どんどんできることが増えてきて、我が家で夫婦で会話する時も、お互いのAIを秘書のように使いながら会話してるくらいです。もちろん、業務面でもほぼ必須ツールとなってきました。この話はまた次の機会にするとして、今回は、「AIが使い方によって記憶の仕方が変わった」話をします。
「AIに答えを聞いてばかりだと、子供の脳が退化するのではないか」「自分で調べないから、記憶に残らないのではないか」。AIが急速に普及する中で、こうした教育への不安を耳にすることが増えました。確かに、単にテストの回答をAIに書き写すだけなら、それは知識の「通過」に過ぎません。しかし、使い方を一歩変えるだけで、むしろ「体験を深く濃くし、記憶を強く定着させるツール」に変わります。
GWに、実家に帰省した際、5歳の娘と私、私の両親(おじいちゃん、おばあちゃん)の三世代で散歩をした時のこと。AIを使うことで、家族の会話を呼び起こし、子供の瞳を輝かせ、知識を「生きた記憶」となる体験をしました。
「ほら、あれ!」が知識に変わる瞬間
散歩道は、文字情報の少ない「非言語」の世界。お寺の境内で聞こえる、子供にとっては不思議な鳥の鳴き声、道端に落ちている奇妙な形の木の実。これらを言葉だけで検索するのは至難の業です。
しかし、今のAIは「マルチモーダル(多角的な感覚)」を備えています。
「今の鳴き声、何?」
「なんだろう、AI(先生)に聞いてみようか」
スマートフォンを空に向け、音を聴かせる。あるいは、落ちている実を撮影する。するとすぐにAIは「これはシジュウカラですね」「これはクヌギの実」と答えをくれます。
ここで重要なのは、「体験(音・感触)」と「正解(名前・知識)」が、その場(リアルタイム)でガッチャンと結合すること。家や図書館で図鑑を開くのとでは、記憶の鮮度が違います。その瞬間の風の匂いや、実の硬さと共に知識が脳に刻まれるのです。

AIが答えを出したとき、真の「深い学び」が始まります。AIが基礎情報を提示すると、それを見たおじいちゃんや、おばあちゃんが、自身の「経験」という彩りを添えてくれるのです。
「おー最近はすごいな。シジュウカラは昔はこの辺りにももっといてね、たまに庭に餌を置いて呼んだもんだよ。今はあまりしちゃいけないけどね。」
「この実はね、昔はおばあちゃんたちが色水を作って遊んだの。服につくと取れなくて、よく怒られたっけ」
AIが出したのは、あくまで「データ」です。しかし、そのデータが呼び水となって、おじいちゃんやおばあちゃんの「記憶」が引き出されます。
子供にとって、画面上の文字はただの情報ですが、「大好きな人が語る、実体験を伴った物語」は特別な記憶になります。AIが共通言語(土台)を作ってくれることで、世代間のコミュニケーションがスムーズになり、結果として子供の「納得度」と「記憶の定着度」が格段に上がるのです。

かつての検索は、文字を打ち込むという「作業」でした。しかし、今のAIとの関わりは、「ほら、あの動き!」「こんな音だった気がする」といった、人間の身体的な動きや感覚に近いものになっています。
これは、人間が本来持っている「直感」を損なうどころか、むしろ「世界を観察する目」を養ってくれるとも言えます。従来の検索行動は、”検索すること”に時間を使いがちでしたので、0から1(答え)で終わりだったところから、AIは検索時間も減り”周辺情報を提示し情報拡充”してくれるため、ともすると0から10(知識化)くらいまですぐにいけます。
子供にとっても、もしかすると「AIに聞けばわかる」から、さらに細部を観察しようとするきっかけが生まれるかもしれません。「あの鳥の羽は何色だったかな?」「この実の表面はザラザラしているかな?」。体験の中でAIを使いこなすことは、自分の五感を使って世界と向き合うための、新しい「眼鏡」を手に入れるようなものです。

「8 Hachi Media」が提案するエコで快適な暮らしとは、テクノロジーを排除することではありません。テクノロジーを賢く使い、身近にある自然や家族との繋がりを「再発見」することです。
名前も知らない草花は、ただの「緑の背景」です。しかし、AIを通じて名前を知り、祖父母の思い出を通じて物語を知ることで、それは「自分にとって大切な、守るべき存在」に変わります。
知識が体験と結びつき、感情を伴って記憶されること。これこそが、本当の意味での「豊かな教育」であり、持続可能な未来を作る「心の土壌」になるのではないでしょうか。
writer |
杉さん

40代パパ。広告制作会社・広告代理店の海外駐在を経て、事業会社でToB向けに事業開発・マーケティング支援や、社内でAIを活用した生産性改善のほか新規サービス開発をリード。個人でもWEBマーケや事業コンサル・イベント企画運営などの事業を展開。Web3.0周りの勉強中。
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