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ISSUE : 環境 - ホタメット -

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1つのアクションが、人の心を揺さぶり、社会を少しだけ優しい方向へ動かすことがあります。
それは、何かを売るための言葉ではなく、誰かの想いを代弁し、行動を変える力。
環境を守ろうと呼びかけた声が、日常の選択を変え、平等を願う声が、議論を広げていく。
数秒の映像やプロダクトが心に残り、未来を少しずつ良い方へ変えていく。


世界で一番大きなカンヌ広告祭や、アジア最大級の広告祭アドフェストなどの事例を中心に「世の中を変えるアイデア」を紹介する本企画。今回のissueは「環境」。甲子化学工業株式会社の「ホタメット」についてご紹介します。

「ホタメット」は、北海道猿払村をはじめとするホタテ産業で発生する大量の廃棄貝殻を再利用し、環境にやさしいエコプラスチック素材として活用するプロジェクトです。企画・開発を手がけたのは甲子化学工業株式会社で、廃棄物の再資源化と防災分野での実用化を両立させています。

日本のホタテ産地では、年間を通じて多くの貝殻が廃棄され、悪臭や水質汚染、保管場所の確保などが大きな課題となっていました。また、脱プラスチックの流れの中で「プラスチック=悪」というイメージが強まるなか、プラスチックと共生しながら持続可能なものづくりを進める新しいアプローチが求められていました。そうした背景のもと、同社は廃棄されていたホタテ貝殻を資源として再利用し、新たな価値を生み出す取り組みを始めました。

開発では、廃棄ホタテ貝殻を粉砕して主成分である炭酸カルシウムを抽出し、それを廃プラスチックと混ぜ合わせた複合素材「シェルテック(Shelltec)」を開発しました。素材面だけでなくデザインにもこだわり、ホタテ貝殻の特徴であるリブ(凹凸)構造を模倣することで、強度や耐久性を高めるとともに、ホタテの姿を感じさせる美しい造形を実現しています。試作段階のテストでは、新品プラスチックのみを使用した場合と比較してCO₂排出量を最大約36%削減し、強度も約30〜33%向上するなど、性能面でも優れた結果が得られています。

この取り組みは、地域の環境課題の解決にもつながっています。これまで処理に困っていた貝殻が資源として活用されることで、廃棄物処理の負担が軽減され、環境負荷の低減にも寄与しています。また、防災分野でも高く評価されており、「ホタメット」は大阪・関西万博の公式防災ヘルメットのひとつとして採用される予定です。

廃棄物がアップサイクルされ、新たに製品として生まれ変わる事例は数多くありますが、このプロジェクトにおいては、いままで「ホタテの自身を守るため」の殻を「人の頭を守るため」のヘルメットにしたというストーリがすばらしいです。そのストーリーが人を惹きつける製品になっていると思いました。プロダクトデザインもただのヘルメットではなく、ホタテの殻を想像できるような美しいデザインに落とし込まれていることからも製作者側のストーリーを大切にしようとしている気持ちが伝わってきます。

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