Hachi Medida

「弱さを含む健康」とは。 マインドフルネスと健康を考える、ゆるやかな対話

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さまざまな角度から「循環」をテーマに社会を考えるメディア「8 Hachi Media」が開催するトークイベント&交流会。2025年3月13日に開催された第2弾は、心理学者・臨床心理士の黒川由紀子先生と、医師や作家として活動される稲葉俊郎先生を迎えた対談を行いました。テーマは「⼼と体・健康と社会 その巡りを考える」。朗らかな雰囲気のなか、参加者それぞれが生きる土台となる健康について想いを馳せたイベントの様子をお伝えします。


巨大なマーケットから抜け出す第一歩を

寒さのなかにも春らしさを感じる3月の東京駅。今回も東京ミッドタウン八重洲の5階にある「POTLUCK YAESU(ポットラック ヤエス)」の一角をお借りして、イベントの第2弾をスタートしました。

募集開始からすぐに満員となった今回のイベントには、およそ50人の方々がご参加くださいました。お菓子や飲み物もご用意し、編集長の光岡 忍が「リラックスして参加していただけたら」と挨拶。

最初にお伝えしたのは、8 Hachi Mediaのテーマに掲げている『循環』という言葉に関連して、よく耳にする『3R』について。日本では『リサイクル(re-cycle)・リユース(re-use)・リデュース(re-duse)』の3つが知られていますが、今の国際社会では『考え直す(re-think)』『再生(re-generation)』『改良(re-form)』など、キーワードがどんどん増えているといいます。

「国際的な指標として言葉が生まれ、注目されるのは素晴らしいことです。一方で、私たちの生活や営みがいまだ大量生産・大量廃棄の巨大なマーケットのなかにあるのは事実だと思います。経済合理性や効率化の流れに、私たちはどっぷりと浸かってしまっているんです。」

その巨大な既存の流れから、私たちは抜け出すことができるのでしょうか。だとしたら、一体どうやって? 光岡は、実現は簡単ではないとしつつも、既存の世界から視点を変えてみることが第一歩なのではないかと語りました。

「循環をテーマにしたメディアを運営する上で、小さな行動を促すヒントや変化を楽しむきっかけをお伝えしたい。私たち自身が未来の可能性にワクワクするような気持ちで取り組んでいきたいなと思っております。」

循環型社会を目指す企業の輪を広げたい

続いて、「8 Hachi Media」の運営元である株式会社esa代表の黒川 周子が登壇。自社の取り組みとメディアに込めた想いを語りました。

株式会社esaは、環境や社会へのソリューションを提供するために2022年に立ち上がった会社です。「廃棄プラスチックに、新しい選択肢を」という合言葉のもと、これまでは焼却した熱エネルギーを活用するサーマルリサイクルが主流だった複合プラスチック素材を再利用できる技術を開発。その工程で排出されるCO2やコストの削減にも取り組み、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現を目指しています。

「サステナビリティを追求しながら事業を進めるうちに、自分たちだけでは成し得ないことがあると気付きました。そこで、『仲間作りにつながるメディアを』と光岡さんに相談したのが、8 Hachi Mediaの始まりです」

循環型社会について考え、輪を広げていくメディアとして誕生した「8 Hachi Media」。情報発信の上で大切にしている「学ぶ、感じる、遊ぶ」という3つのカテゴリーについても、副編集長の小谷 美佳から説明しました。

学ぶ:すでに未来を見据えて動く人や企業の取り組みから、対話を通じて学んでいくカテゴリー。循環型社会のために私たちができることを考えます。

感じる:循環型社会の土台となる、心の豊かさについて感じるカテゴリー。マインドフルネスやアートを通じ、ウェルビーイングに思いを巡らせます。

遊ぶ:長野県信濃町に移住した編集長の光岡を始めとして、都会を離れた豊かな暮らしを紹介するカテゴリー。ふっ、と力を抜いて遊んでみることで見える世界を伝えます。

「私たちは、何かを『絶対にこうだ』と断言することはしたくないな、と思っております。世の中は簡単に白黒つけられることばかりではないなかで、その曖昧さも楽しみながら試行錯誤していくつもりです。」

【対談】心と体、健康と社会、その巡りを考える

今回の対談は「心と体、健康と社会、その巡りを考える」をテーマに、おふたりのゲストにお越しいただきました。

まずは、上智大学名誉教授、黒川由紀子老年学研究所所長で、特に高齢者の心理臨床を専門とされている黒川由紀子先生。年を重ねる豊かさを多世代で共有できたらという思いのもと、医療機関や福祉施設等で認知症の人への心理療法を行なっています。回想法グループ、自分史年表講座、マインドフルネスの会、歌・音楽を楽しむ会等も運営されています。「8 Hachi Media」では「マインドフルネス実践」をご寄稿くださっており、豊かな心を持って日常を送る観点から、循環型社会へのつながりを実践しています。

そして、もうお一方は医師・医学博士・産業医だけでなく、作家としても活躍される稲葉俊郎先生です。慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科(SDM) 特任教授。「いのちを呼びさます場」として、湯治、芸術、音楽、物語、対話などが融合したwell-beingの場の研究と実践に関わっています。西洋医学だけではなく伝統医療、補完代替医療、民間医療も広く修め、医療と芸術、福祉など、他分野と橋を架ける活動に従事しているという自己紹介がありました。

「持続可能な社会について考えるとき、不安や恐れを誘発して人々を動かそうとする言葉が多い。『このままだと大洪水が起こる』『人類が絶滅する』みたいな。行動する上で危機感を持つことは大事ですが、自分が愛するものを守りたいと思う気持ちのほうが大切だと、僕は思うんです。地球を愛することが実は一番大事なことで、愛するもののためなら人は命懸けで行動が起こせると思います」(稲葉先生)

最後の質疑応答では、「東京近郊でおすすめの温泉はありますか?」といったカジュアルな質問から、「人間という存在も“自然”なのでしょうか?」という奥深い質問までが飛び交い、参加者全員が交わる心地よい対談となりました。

対談の内容から、さらに深い交流へ

トークイベントの後は、交流会の時間です。編集部も登壇者もまじえたカジュアルな交流時間は、本イベントの醍醐味。自身の考える健康の捉え方を語る方もいれば、「先ほどお話されていた、あの健康法について詳しく聞きたい……」と対談の内容を深堀りする方も。冒頭の光岡の言葉のとおり、リラックスした状態で会話の弾む場となりました。

参加者のみなさんへのお土産は、長野県最北端に位置する栄村にある限界集落「小滝地区」で作られた希少なコシヒカリ「コタキホワイト」。12年前に起こった長野北部大震災の震源地として大きな被害を受けた小滝が、地域復興に取り組んだ末に生まれた商品です。小滝の暮らしを写真で伝えるシリーズ「里山式」を、「8 Hachi Media」で連載しています。

参加者のみなさんをおひとりずつお見送りし、第2弾のトーク&交流会イベントも終了しました。8 Hachi Mediaでは、今後もトークイベントを通して人々を繋ぎながら、循環型社会について考えていきます。

writer | 

ウィルソン麻奈

ライター。属性やラベル、国境などを超えた「向こう側にいる人」を伝えることで、世界がもっと身近で平和になると信じて文章を書いています。主に、インタビュー記事や発信サポートなどのライティングをおこなう傍ら、個人の記憶を本にして残す「このひより」としても活動中。

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