Hachi Medida

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長野県信濃町。動物や虫など、その地に棲まう「小さきもの」にまなざしを向けながら、人の暮らしと重ねて句を読んだ小林一茶が生まれた土地でもあります。東京から信濃町に移り住んだ8 Hachi Media編集長のぶさん。この町にすまう命と人のくらしを季節の巡りとともにお伝えします。


「ようやく住みたい家が見つかったの!」

のぶさんからそんなビッグニュースが届けられた。ずっと家を探していた彼女が選んだのはどんな場所なのだろうか。秋が始まった長野県信濃町を訪れた際に早速見せてもらうことになった。

そこは元々住んでいた方が高齢になり、ご家族が介護をするために増築が施された二棟の平屋が連結されている家だった。

「この家にする決め手になったのが大工さんの意見でね、彼らが良い家ですと認めてくれたから、ここにしよう!って安心して決断することができたの。」

とハウスツアーをしながら教えてもらう。確かに梁は立派で素人目にも丁寧にしっかりとつくられてきたことが伝わってくる。大工さん立会いの元、どこをどう変えられるのかを話すことで、より暮らすイメージを膨らませることができたそうだ。

ある部屋の奥には神棚が備え付けられていた。前の所有者さんが、のぶさんのためにこれから新しい氏神様のお札を用意してくれるという。それはなんと心温まる家の渡し方なのか。

大切にしていた家だからこそ、大切にして欲しい。その想いもまた彼女がこの家に思い入れを抱くことができた理由の一つなんだろう。

まだ見て欲しいところがあると案内されたのは裏庭だった。庭というよりは東京では立派な「広場」と言えるほどの広さだ。

のぶさんの愛犬も全力で楽しそうに駆け回っている。半分くらいは畑にしようと考えているそうだが、これだけ広ければ食材はほとんど賄えてしまうんじゃないだろうか。さらに漬物小屋まであるそうで、冬になれば雪深く新鮮な野菜が手に入らないからこそ、保存食文化が発達している雪国ならではのフル装備だ。

庭の奥にある林では春になれば山菜が採れるらしい。この集落では顔馴染みの人も多く、春になればお裾分けできるかもしれない。

『自然を感じながら、人間らしい温かみのある暮らしがしたい。』

移住を決めたとき彼女が望んでいたことを、ふと思い出した。あの時から1年半が経ち念願の家の購入。ますます信濃町に根差していくことになる。

同じようにのぶさんも、季節の巡りを繰り返し、心豊かに暮らしていくのだろう。その姿に福寿草の姿が重なった。その花は春の訪れを告げ、翌春にもまた花を咲かせる。福寿草が年々、多くの花を咲かせるように、彼女の暮らしも年月を経て、より鮮やかになっていく気がした。

llustration | Mayu Yamagata
「すまうもの。くらすもの。」のイラストは信濃町在住アーティストの方々によるものです

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