
「疲れたな」と感じた時、心を落ち着かせてくれる方法は何ですか?たくさんの情報が溢れ、目まぐるしい変化が起きている今の社会。どうしたら心を楽にできるのか。この連載では心理学者・臨床心理士の黒川由紀子さんに「マインドフルネス」を軸に、心を豊かにするためのヒントをご紹介いただきます。
皆さまは何かにとらわれてしまうことはありませんか?
マイドフルネスの練習を積むことによって、とらわれから徐々に解放され、より健やかな日々を送ることができるでしょう。
ところで、「とらわれ」とは、どのような状態を指すのでしょうか。「とらわれ」とは、ネガティブな状態を指します。「好きなことに夢中になる」ポジティブな状態を「とらわれ」とは言いません。ネガティブな「とらわれ」とは、ある考えや観念がどうしても頭にしみついて離れず、その状態をとても苦しいと感じ、そこからどうにかして逃れたいと切に願うありようを指します。たとえば、職場ですべての同僚に見下されていると思い込む、過去の失敗が「済んだこと」と頭で分かっていても脳裏を離れない、目標を達成できそうになくて不安に駆られて眠れない、許せない人がいて怒りに燃える、といった状態があります。
マインドフルネスでは、意図的に優しく呼吸に意識を向けたり、「今、この瞬間」の音や景色、香りや味に気づくこと等を通じ、「とらわれ」から解放されていきます。今を生きることができれば、「未来」や「過去」の執着を手放すことができます。
では、どのような練習を積めば良いのでしょうか。難しく考える必要はありません。日常生活のあらゆる所作が、マインドフルネスを養う機会となります。朝起きて窓を開ける、歯磨きをする、掃除をする、朝食の用意をする、洗い物をする。日々の動作を無造作に行うのではなく、意図的に注意を払い、優しく丁寧に行うことがマインドフルネスの練習につながります。
マインドフルになるおすすめのスポット
年縞博物館(福井県。設計・内藤廣)。湖の底にできた地層が展示されています。なんと七万年分!世界で「奇跡の湖」と言われる水月湖から堀り出された年縞が途切れることがなくあります。花粉から植物生態系が浮かび上がり、火山灰から大規模噴火の事実が確認されます。人間の出現はごく最近のこと。地球の壮大なドラマを連想させる地層にわくわくが止まりません。

Illustration | Sandor Zelenak
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黒川 由紀子

心理学者、臨床心理士。上智大学名誉教授、黒川由紀子老年学研究所所長。特に高齢者の心理臨床を専門とする。これまで医療機関や福祉施設等で認知症の人への心理療法を専門職やボランティアと共に行ってきた。現在回想法グループ、自分史年表講座、マインドフルネスの会、歌・音楽を楽しむ会等を運営している。年を重ねる豊かさを多世代で共有できたらよいと考えている。
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