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そこのけ そこのけ 獅子が通る

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長野県信濃町。動物や虫など、その地に棲まう「小さきもの」にまなざしを向けながら、人の暮らしと重ねて句を読んだ小林一茶が生まれた土地でもあります。東京から信濃町に移り住んだ8 Hachi Media編集長のぶさん。この町にすまう命と人のくらしを季節の巡りとともにお伝えします。


長野県信濃町では祭事や祝い事があると神社や家で獅子舞が披露される。それは東京でお正月に見かけるようなものとは趣きが異なる。昨年の秋祭りで柏原諏訪神社で奉納された獅子舞を鑑賞したときは、なんて優雅な舞なのだろう、と見惚れてしまったほどだ。

獅子舞に見惚れていたのは大人だけではなかった。その魅力は止まることを知らず、子どもたちの心をしっかりと掴んだ。

『自分たちもやりたい!!』

その願いを叶えようと、達人に教わりながら自分たちで道具までつくり上げてうまれた「子ども神楽」。信濃町の住民の心を温めてくれると大評判なのだとか。

「役所の中でも披露してくれたことがあったんだけど、本当に可愛いの!癒されるんだよねぇ。」とのぶさんも、すっかりファンになっている。

その神楽を実際に見させていただけることになり、柏原保育園を訪れた。獅子舞の師匠にお披露目するのが目的だ。体育館のようなスペースに設けられた小さなステージ。どんな瞬間も逃すまいとカメラ位置を確認し、スタンバイするのぶさん。

しばらくするとお囃子の音色とともに可愛らしい一座がやってきた。獅子はもちろん、山車に提灯、笛や剣まで。色紙や新聞紙を使い色鮮やかに仕上げられたそれらは、全て子どもたちの手づくり。

口上とともに音色に合わせてそれぞれのパートをしっかりと演じる彼らは立派な演者だ。最後に獅子が剣を飲み込むところまで忠実に再現されている。

仕事に例えるならば、企画立案(やりたいと言う)→情報収集(師匠に教わる)→試作(工作)→検証(練習)までを僅か4〜5才の子どもたちでやり遂げたことになる。大人でも全てをやり遂げるのは大変なのだから、彼らが素晴らしいのは言わずもがなだ。

一緒に鑑賞していた師匠も誇らしげに笑っている。子どもたちにとって、彼はヒーローのような存在なのだろう。特別ゲストとして招かれた給食の時間も質問ぜめだ。

「なんで獅子をしているの?」
「仕事が獅子なの?」

憧れの人といられたからか、子どもたちのテンションはずっと上がりっぱなし。帰るときもずっと師匠の手を繋ぎ、園を出ても手を振ってさようならを言い続けていた。


子どもは大人の背を見て育つというが、舞を見ても育つようだ。いつか彼らが大人と同じ背になったとき、今度はどんな舞を見せてくれるのだろう。

Illustration | Shinobu Mitsuoka
「すまうもの。くらすもの。」のイラストは信濃町在住アーティストの方々によるものです

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