Hachi Medida

黄金の町に獅子が舞う

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長野県信濃町。動物や虫など、その地に棲まう「小さきもの」にまなざしを向けながら、人の暮らしと重ねて句を読んだ小林一茶が生まれた土地でもあります。東京から信濃町に移り住んだ8 Hachi Media編集長のぶさん。この町にすまう命と人のくらしを季節の巡りとともにお伝えします。


どこからか祭囃子が聞こえてきた。今日、信濃町では五穀豊穣を祝って秋祭りが行われる。町の田んぼには稲穂が実り、黄金色の景色が広がっている。歩いていると稲穂の香りが漂ってくる季節だ。

お囃子の音色に惹かれて二人で外に出てみると、子供達が神輿を担いでやってきた。見慣れないデザインに驚いていると、のぶさんが教えてくれた。ここでは子供達が自分で組み立て装飾を施していると。オリジナルの掛け声と共に、オリジナルの神輿で行進する姿は、実に微笑ましい。

子供神輿を観に人々が出てきた。皆、手には封筒を持っている。「何か、差し上げるんですか?」と尋ねると「ちょっとしたお祝いをね。お菓子を買ったりできるような。」。

そう答えて、その人は嬉しそうに子供達に封筒を渡した。

その様子を逃さないようにシャッターを切った。まるで家族の思い出写真を撮るように。そして次の場所へ向かう子供達を、皆が笑顔で見送る。町全体で子供の成長を見守るというのは、こういうことを言うのだろう。

夜、祭りのトリを飾る獅子舞を観に、犬を連れて柏原諏訪神社の境内へ向かった。かつては宿場町だった柏原。そういう古くからある地域では、二頭(ふたかしら)といって雌雄の獅子を持ち、それぞれの獅子神楽が行われるという。

到着すると拝殿では女獅子が舞っていた。急いでカメラ片手に拝殿に入っていく。祭りのクライマックスとあって、中は人だかりだ。私と1匹は諦めて野外で行われる男獅子による神楽を待つことにした。

そして更に夜が深まる頃、それは笛の音とともに始まった。拝殿を背にして構える男獅子。ゆったりと動いたかと思えば荒々しくなる。緩急のある動きの中に、威圧感さえ感じる荘厳さを漂わせている。初めて観る舞に心を奪われ、お囃子に聴き入っていると気づけば犬もしなだれながら見入っていた。

静寂と共に舞が終わる。こうして夏は終わりを迎えた。

Illustration | Shinobu Mitsuoka
「すまうもの。くらすもの。」のイラストは信濃町在住アーティストの方々によるものです

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