
野生動物の生きる世界と人の営む世界との境目となる里山。自然と人の共生の一端を担ってきた里山は、人が手を入れ続けていくことで調和が保たれ、その自然の恵みが里の暮らしを支えてきました。長野県最北端に位置する栄村にある「小滝」は、そんな里山の生活様式が今でも息づく集落です。 自然と共に生きて、人と人とが共につながりあって暮らす小滝の人々。自然と人の織りなす里山風景を写真で伝えていきます。
稲作集落として300年の歴史がある小滝には、民俗的な風習が今でも色濃く受け継がれています。小正月の1月14日には「道祖神」を燃やすことで1年間の災いを払い、豊作や商売繁盛、家内安全、無病息災、子孫繁栄を願う「どんど焼き」が執り行われました。この煙に乗って、年神様が田んぼや山に帰ってゆきます。

1 月 14 日、朝 11 時。
集落の入り口に佇む社祠「十二社」に小滝衆が集まり、茅と稲で組み立てられた「道祖神」に火柱が立った。

お正月に飾った門松やしめ飾りなどの縁起物、達磨や書き初めを「道祖神」にくくりつけ、全て一緒に燃やす。

雪が降る前に、茅と稲で組み立てた「道祖神」は3メートル以上の高さ。よく乾き一気に燃え盛る。

書き初めを燃やした灰が空高くのぼることで、その年は字が上手くなり頭が良くなると伝えられてきた。熱い煙を立てる「道祖神」に一生懸命手を伸ばす。

炎が落ち着いてきたらお餅を焼いて食べる。暮れのうちに里山で集めた枝は通称「もちの木」。沢沿いに生えるミズキの枝は水分を多く含むため熱に強い。これぞ里山暮らしの知恵。

どんど焼きがひと段落した後は、年男・年女が社祠の前に立ち「ご利益」となるミカンやお菓子を小滝衆に向かって投げる。みんなの笑顔で新年の賑わいはクライマックスへ。

子供たちが集めた「ご利益」の品々。お正月の余韻を彩るのだろう。

皆で燃やした道祖神はすっかり灰となり、年神様は田んぼへ、山へ、空へ、帰っていった。今年も小滝では美味しいお米ができるに違いない。
【撮影地 長野県栄村 小滝集落について】
長野県の最北端に位置する「長野県栄村」。積雪量日本一(1945年7m85cm)を記録したこともある日本有数の深雪地帯で、日本の原風景が色濃く残る地域でもあります。「小滝」は栄村内に31ある集落のひとつ。日本一の大河である千曲川(信濃川)沿いに14戸の家々が佇む小さくも美しい集落です。
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