Hachi Medida

秋風にたゆたう

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長野県信濃町。動物や虫など、その地に棲まう「小さきもの」にまなざしを向けながら、人の暮らしと重ねて句を読んだ小林一茶が生まれた土地でもあります。東京から信濃町に移り住んだ8 Hachi Media編集長のぶさん。この町にすまう命と人のくらしを季節の巡りとともにお伝えします。


長野県信濃町には移住されてきた方が少なくない。彼らとの交流も、移住してきたのぶさんにとって大切な時間の一つだ。


今日は、数日留守にする飼い主さんの代わりに、その方の犬と、のぶさんの犬を連れて黒姫高原スノーパークに向かう。途中、ペットシッターとして手伝いに来ていた女性と合流。同じく移住者で、今はお兄さんとカフェ食堂を経営している。行きつけのお店で出会った人と、困った時はお互い助け合う。そういう優しさが心地よい。


人の背よりも高いススキ野原の中へ、2匹の柴犬が走り出した。あっという間に姿が見えなくなっていく。まるで2匹だけの世界にワープしたかのように。


戻ってこられるのか心配してると「大丈夫。必ず帰ってくるから。」と、慣れた感じで、先へと進み始めた。しばらくするとガサゴソと音がして、2匹が先回りして飛び出してきた。


ハァハァと息を切らしながらも、いつも以上に目を輝かせている。そういえば柴犬は最も狼に近い犬種と言われている。野山を全速力で駆け回る彼らの姿は、本来持っている野生が表れているようだ。


人間達も息を切らしながら、展望エリアまで登る。犬達は、さすがに疲れたのか日陰でくつろぎ始めている。高台から見下ろすと、眼下には海原のように儚げな尾花色のススキが波打ち、さらに先には深みのある青緑色の森や山々、野尻湖が広がっていた。


のぶさんはいつもこの景色とともに、集落に転々と連なる屋根を見ているそうだ。昔から続く集落を見つめているとなんだか安心すると話してくれた。その土地の歴史を感じながら、そこで暮らしてきた人々の様を想像し、自分も暮らしていることを考えると、何か大きなものに包まれているような感覚になれるのだと。その話を聞いて、


「あぁ、こんな場所だったんだ。」


と、新たに町の顔を捉えられた気がした。ルーティンのように散歩の度にここで撮り続けた写真を、いつか並べて見せてもらおう。きっと見られなかった季節の色が収められているだろう。

Illustration | Izumi Iwashiro

「すまうもの。くらすもの。」のイラストは信濃町在住アーティストの方々によるものです

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