
日々進化するAI。
ものすごく便利な部分もありつつ、どんなふうに使っていけると良いのか?
衣・食・住といった「暮らし」につながる観点で、個人的な活用シーンや得られた気づき、世の中の「暮らし」に関わるAI活用事例などを発信する連載コラム。
vol.4は、前回同様「子育て」を軸に習い事に関する話をします。
新しい年が始まり、お子さんの進級や進学に向けて「習い事」をどうするか、家族で話し合っている方も多いのではないでしょうか。 子どもの興味を伸ばしてあげたい気持ちの一方で、「親が経験したことのない分野だと、家での練習を見てあげられない」と不安になり、二の足を踏んでしまうことはありませんか?我が家でも、どの習い事をさせようか?教育方針はどうしようか?という話題がよく出ます。
最近は、文部科学省も取り入れている「STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学の横断的な学び)」という方針を注視しています。STEAM教育は、創造性や批判的思考力、問題解決能力を育み、複雑化する現代社会で活躍できる人材育成の考え方です。こう書くと、なんだか難しそうで、「親が理系じゃないと無理なのでは?」と身構えてしまいがちです。
でも、安心してください。AI時代の子育ては、親が完璧である必要はありません。 今回は、文系の私が気づいた、「親の得意」と「AI(テクノロジー)」を組み合わせる、無理のない習い事との付き合い方についてお話しします。
まずは、我が家のリアルな悩みをお話しします。 最近、娘が保育園の友達の影響で「ピアノをやりたい!」と言い出し、教室に通い始めました。まだ本格的なピアノはなく、おもちゃのピアノでの練習ですが、娘は毎日楽しそうに鍵盤を叩いています。
幸い、ママは幼少期にピアノを習っていた経験者。今のところ、家での復習や練習のサポートはママに任せていれば安心です。 しかし、ふと不安がよぎりました。 「これ、ママが留守の時に『パパ、練習見て』と言われたら、楽譜も読めない自分はどうすればいいんだ?」
「違うよ」と指摘することも、「こう弾くんだよ」と手本を見せることもできない。ただ横でオロオロするだけの自分……。想像するだけで冷や汗が出ます。

一方で、私には「絵を描く」という特技があります。 実は美大出身で絵を描くのが好きで、私が紙にサラサラと描くと、娘は目を輝かせて「すごいすごい!」と喜んでくれます。そう言われるとこちらも気持ち良く教えられ、今では娘もよく絵を描くようになりました。
この二つの体験の対比で、ハッとしました。 「得意なこと(絵)なら、親は熱量を持って教えられる。でも、苦手なこと(ピアノ)で同じ熱量を注ぐのは難しい」 そして、無理に全部親が背負わなくても、この「凸凹(デコボコ)」こそがSTEAM教育のヒントになるのではと気づいたのです。
STEAM教育の面白いところは、理数系の科目だけでなく「Arts(芸術・感性)」が含まれている点です。 創造性や感性を育む「Arts」は、私の得意分野。ここは私が自信を持って、娘と一緒に楽しめばいい。
では、私が苦手な論理的な部分や、未経験の技術的な部分はどうするか? そこで「Technology(AI)」の出番です。
ピアノの練習時には、私は無理に先生の真似事をせず、AIを活用します。 例えば、最近のAI搭載の音楽アプリや生成AIは、非常に優秀で弾いた音を聞かせると「リズムが少し速くなっているよ」と教えてくれたり、楽譜の写真を撮って「この記号はどういう意味?」と聞けば、「それは『だんだん強く』っていう意味だよ。元気よく弾いてみよう!」と子どもに分かる言葉で解説してくれたりします。
私がすべきなのは、頑張ってピアノを教えることではなく、適宜 「AI先生の話に合わせて、もう一回やってみようか!」と、テクノロジーを使って解決へ導くコーディネーターになることです。

Arts(感性・創造): 親が得意なことは、親が直接、熱量を持って伝える。
Technology(技術・論理): 親が分からない部分は、最新のAIツールに任せる。
ArtやTechnologyに限らず、役割分担こそが、家庭内で無理なくSTEAM教育を実践する「コツ」なのだと感じます。
親が未経験の習い事を検討する際、「家で教えられないから」と、もしかしたら躊躇してしまう方もいるかもしれません。 でも、これからの時代に大切なのは「親が正解を知っていること」ではなく、「分からない時に、どうやってテクノロジーを使って解決するか」を見せること。
もしお子さんが、親の全く知らない分野に興味を持ったら、チャンスです。 「パパも知らないから、AIに聞きながら一緒にやってみようか」と言ってみてください。
AIに問いかけ、返ってきた答えを試してみる。この試行錯誤のプロセスそのものが、課題解決能力を育む時間になります。親は「先生」ではなく、一緒に探求する「研究仲間」になればいいのです。
この「AIとの共生」は、教育効果だけでなく、私たちの暮らしを「エコで快適」なものにしてくれます。
①移動時間の短縮
AI教材やアプリを活用し自宅学習の質が上がれば、遠くの教室へ頻繁に通う回数を調整でき、結果としてエコになったり、親の時間も効率的に使えます。
②親子の心の「サステナビリティ」
私が最も大きいと感じるのは、親のメンタル面です。 苦手なことを無理して教えようとすると、どうしても余裕がなくなり、「なんでできないの!」とイライラしてしまうこともあるかもしれません。これでは家庭内の空気が悪くなり「快適」ではありません。
苦手な部分はAIに頼り、親は「すごいね、ここまでできたんだ!」と褒める役に徹する。 家庭内の笑顔を守り、長く楽しく学び続けるためには、実は、親が「頑張りすぎない」ことが大事で。そのためのツールとしてのテクノロジー活用が不可欠です。
親が自分の知識の範囲内だけで習い事を選んでいては、子どもの可能性は限られてしまいます。 「パパは絵が得意だけど、ピアノはAIちゃんに助けてもらおう」。 そんなふうに、親の凸凹(デコボコ)は正直に見せてしまい、便利なものは賢く使う。
そんな軽やかなスタンスが、これからの家族の「快適な暮らし」を作っていくのだと思います。 皆さんもぜひ、苦手な分野こそAIを頼って、お子さんと新しい世界を覗いてみてください。
前回の記事
writer |
杉さん

40代パパ。広告制作会社・広告代理店の海外駐在を経て、事業会社でToB向けに事業開発・マーケティング支援や、社内でAIを活用した生産性改善のほか新規サービス開発をリード。個人でもWEBマーケや事業コンサル・イベント企画運営などの事業を展開。Web3.0周りの勉強中。
ー シリーズ別に探す ー