Hachi Medida

ふんわりふわり雪と灰

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長野県信濃町。動物や虫など、その地に棲まう「小さきもの」にまなざしを向けながら、人の暮らしと重ねて句を読んだ小林一茶が生まれた土地でもあります。東京から信濃町に移り住んだ8 Hachi Media編集長のぶさん。この町にすまう命と人のくらしを季節の巡りとともにお伝えします。


年が明けた。一面が雪景色の信濃町だが、心なしか町全体が浮かれている気がする。今日は、お正月の中でもハイライトと言えるのではないかという「どんど焼き」の日だ。どんど焼きは地区に分かれて行われるそうで、今日は至るところで燃える姿が見られるらしい。のぶさんは、ずっと飾りっぱなしになっていたお札やしめ縄を持って、急いで会場へと向かう。

年末につくられた道祖神はブルーシートに覆われ、年が明ける頃には雪に隠れている。まずは主役の道祖神を掘り起こし、その姿を見てもらえるようにするところから、どんど焼きは始まる。

今回は、柏原地区でも一番大きいと言われている道祖神のある場所に行くことに。昨日までは雪原だったであろう場所に会場までの道が通り、2体の道祖神の周りを囲うように広場が作られていた。早朝から雪かきが行われていたに違いない。

「どっちが女だったっけ?」

「右じゃないかなぁ」

と確認しながら準備が進められていく。3、4メートルくらいはあるだろうか。頂点にはだるまが飾られ、2体を結びつける紐が飾られていた。道祖神の中には藁が敷き詰められ、大小様々なカラフルなだるまや、しめ縄などが埋め込まれている。のぶさんも燃やして欲しいものを中へと入れた。

年男・年女が火をつける習わしだそうだ。今年は男性が1人と男の子が2人。地域で成長を見守るというのは、こういう節目を共に過ごすことも含まれているのかもしれない。炎の勢いが増し、道祖神が崩れ始めると御神酒を振る舞う人、おつまみを振る舞う人、自作の網で餅やスルメを焼く人など皆が好きなようにこの場を楽しみ始める。

「おつまみもらった?」

「お餅食べてみる?」

と、地域の人たちに勧められるがままに色々いただいた結果、のぶさんの手が埋まってしまった。写真が撮れない状況に苦笑しながらも会話を楽しむ。そして気づけば、おつまみを配る係になっていた。「今度は消防団に入ってくださいよ。」そんなお誘いまでいただいてしまった。燃え盛る炎と雪のように舞い散る灰を見ながら、語らい新年を祝う。東京を離れて初めて迎えたお正月。それは信濃町の文化の豊かさと人の温かさに包まれた思い出になった。

Illustration | Izumi Iwashiro

「すまうもの。くらすもの。」のイラストは信濃町在住アーティストの方々によるものです

▼次回のお話

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