
生まれも育ちも東京。帰省先、というのもなく、自然豊かな環境とは少し縁遠かった。
その反動だったのかもしれない。自然が身近で、素朴な暮らしに憧れた。
東京から離れ自然に身を委ねているときは、心も体も軽くなる。
余計な心配事も気づけば忘れ、思考は良好。
あれもこれも、と出ていた欲も引っ込んだ。
でも都合の良いときだけ自然に甘えているんじゃないか、という罪悪感を感じることも。都会暮らしは自然を壊している気がしていたから。
あるとき、C.W.ニコルさんの活動を知る機会があった。日本の森や伝統的な里山文化の価値を伝え、環境破壊のリアルも見せてくれる彼の活動に魅せられた。「自然を大切に想う心とそのための行動」に同行したい。そう思って長野県信濃町にあるアファンの森に通い始めるように。それが信濃町との縁の始まり。季節の移ろいと共に変わる景色を味わいながら、気づけばどんどん町を好きになっていた。
「東京に拠点を置く意味ってなんだろう?」
やがてそんな疑問が、この町で人と人とのつながりが増えたことで大きくなった。自然を愛し守る人。町が好きになって移住した人。故郷として誇りを持って働く人。東京とは違う人間らしさのある顔が見える人付き合いに、肌馴染みの良さを感じた。心がホッとする感触を得たとき、疑問は確信に変わった。
「あとは飛び込む勇気だけだ!」
かくして彼女、8 Hachi Media編集長のぶさんは40年近く慣れ親しんだ東京を離れ、長野県信濃町に飛び込んだ。この連載は、そんな彼女と信濃町にすまうもの、くらすものたちを追ったお話。

Illustration | Shinobu Mitsuoka
「すまうもの。くらすもの。」のイラストは信濃町在住アーティストの方々によるものです
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8 編集室

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