
H&Mが展開する「Looop(ループ)」は、ファッション業界の循環型(サーキュラー)ファッションを推進する先進的なリサイクルシステムです。不要になった衣類を「新しい服」に再生するための機械は、スウェーデン・ストックホルムの店舗に初めて導入されました。
店内に設置されたコンテナほどの大型機械に古い服を投入すると、約5時間で新しい衣類へと再生されます。顧客が再生プロセスを目の前で体験できるのが、この仕組みの大きな特徴です。

この取り組みの背景には、2030年までに使用素材をすべてリサイクル、または持続可能な素材にするというH&Mの大きな目標があります。「衣類=資源」として扱い、廃棄物を出さずに素材を循環させることを目指しています。
具体的なリサイクルの仕組みは、以下の8つのステップで構成されています。
洗浄:オゾンなどで衣類を消毒し、汚れや微生物を除去します。
分解:衣類を繊維レベルまで細かく裁断します。
不純物除去・強度補強:汚れや異物を取り除き、必要に応じてサステナブルな新素材を少量追加して繊維の強度を保ちます。
カードイング:繊維を均一なウェブ(繊維層)に整えます。
ドローイング:複数の繊維を束ねて、さらに強い繊維束を作ります。
紡績:強化された繊維を糸に紡ぎます。
糸の強化:糸同士を撚り合わせて、さらに強度を増します。
編み立て:出来上がった糸を機械で編んで、新しい衣類にします。

このプロセスは水も化学薬品も使いません。そのため、従来の衣類生産に比べて環境負荷を大幅に抑えることができます。Looop自体も技術ライセンス化を視野に入れており、自社のみならず、業界全体の循環性向上を促す役割を担っていくことでしょう。
衣類の廃棄物問題が大きくなっている昨今、大量生産大量消費のイメージが強いファストファッションの大手が取り組むことに社会的インパクトをもたらし、大きな意味があると思いました。
再生させる技術が素晴らしいのはもちろんですが、それを生活者に向けてのビジュアライズがブランドとしてうまく表現できている事例です。環境保護という意味では悪のイメージが付きやすいブランドですが、こういうプロジェクトをしっかりと可視化することで、ブランドへのファンも付きやすくできるのではないでしょうか。

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