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「食べる」マインドフルネス

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「疲れたな」と感じた時、心を落ち着かせてくれる方法は何ですか?たくさんの情報が溢れ、目まぐるしい変化が起きている今の社会。どうしたら心を楽にできるのか。この連載では心理学者・臨床心理士の黒川由紀子さんに「マインドフルネス」を軸に、心を豊かにするためのヒントをご紹介いただきます。


 人生最後まで残る楽しみは?「食べる」こと、と言われています。皆さまは最後に何を食べたいですか。調査では、「寿司」「焼肉・ステーキ」「ラーメン」が上位にランクされるそうです。これは「元気な人」の答えと想像します。からだが弱り、旅立つ前には、食べやすいものを少し口に含むのがやっとでしょう。

「一匙のアイスクリームや蘇る」(正岡子規)。
アイスクリームに喜びを表す人の姿がみえます。

 今回は、生活にとりいれるマインドフルネスとして「食べる」ことをとりあげます。皆さまは、日々ゆっくり味わいながら食事をしていますか。食べることに命がけでこだわる人もいれば、食べることが面倒で、簡単に早く済ませたい人もいます。ほとんどの人は、この中間にいて、そこそこ食べることが好きで、飲食を楽しみます。

食べるマインドフルネスは、誰でもどこでも行うことができます。マインドフルに食べることで、生活がみずみずしく潤い、等身大の自分とつながります。食べることに、価値判断ぜずに意識を向けてみましょう。五感をフルに使って、楽しみながら行います。まず、これから食べようとするものをよく観ます。形、色、艶はどうなっているでしょうか。香りはどうでしょうか。次に、ゆっくり口にふくんで、噛まずに触感、味、香りなどを確かめていきます。食べ物が口の内側に触れる感じ、舌の上の感覚に気づいていきます。続いて、口に含んだものを少しずつ噛んでみましょう。口の中の変化に注意を向けていきます。次に、少しずつ呑み込んで、呑み込む時の感覚やその変化に気づいていきましょう。

忙しい人は、食事の一部だけでもマインドフルにしてみませんか。マインドフルに食べることで、今、この瞬間にとどまり、心とからだの健康に導かれていきます。食べ物の背後に横たわる無限のストーリーに心を寄せれば、地球環境の保全にもつながることでしょう。

マインドフルになれるおすすめスポット

草月会館内イサム・ノグチ石庭。階段を上がりながら、巨石が刻む時に思いを致し、水の音に耳を澄ませれば、こころが解き放たれます。以前は自由に入れました。勅使河原蒼風とイサム・ノグチがうんだ傑作、お二人にありがとうと、いつも手を合わせています。

|Illustration|Sandor Zelenak

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黒川 由紀子

心理学者、臨床心理士。上智大学名誉教授、黒川由紀子老年学研究所所長。特に高齢者の心理臨床を専門とする。これまで医療機関や福祉施設等で認知症の人への心理療法を専門職やボランティアと共に行ってきた。現在回想法グループ、自分史年表講座、マインドフルネスの会、歌・音楽を楽しむ会等を運営している。年を重ねる豊かさを多世代で共有できたらよいと考えている。

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