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ISSUE: 労働 - ハイネケン -

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1つのアクションが、人の心を揺さぶり、社会を少しだけ優しい方向へ動かすことがあります。 それは、何かを売るための言葉ではなく、誰かの想いを代弁し、行動を変える力。 環境を守ろうと呼びかけた声が、日常の選択を変え、平等を願う声が、議論を広げていく。 数秒の映像やプロダクトが心に残り、未来を少しずつ良い方へ変えていく。


今回ご紹介するハイネケンが実施した「The Closer」は、デジタル化が進む現代社会の働き方に一石を投じるユニークなキャンペーンです。この施策の核となるのは、ハイネケンの瓶を開けると同時に、Bluetooth連携によって周囲のパソコンなどのデバイスを強制的にスリープ状態にするという「ハイテク栓抜き」です。この栓抜きは単なる実用品ではなく、仕事を物理的に切り上げて余暇の時間を取り戻そうという、ユーモアと風刺を込めた象徴的なプロダクトとして開発されました。

このキャンペーンの背景には、パンデミック以降に急速に普及したリモートワークによる弊害があります。仕事とプライベートの境界が曖昧になり、多くの人々が「常にオン」の状態で働きすぎてしまうという問題が深刻化していました。ブランドメッセージとして「人と人とのつながり」や「社交の価値」を掲げるハイネケンは、こうした現状を憂慮し、人々が友人や家族と過ごす本来の時間を取り戻すためのアクションを呼びかけたのです。

展開手法も非常に挑戦的です。ニューヨークでは深夜まで明かりが灯るオフィスビルを逆手に取り、残業している人々に向けて「働きすぎでは?The Closerが力になります」というコピーを壁面に投影。また、カナダではユーザーから募集した働きすぎへの指摘コメントを屋外広告に活用するなど、SNSと連動した施策も行われました。

さらに、このメッセージに説得力を持たせるため、ハイネケンは自社でも8万人以上の従業員を対象としたウェルビーイング・プログラムを設立し、世界各地でワークショップを開催するなど、組織の内側からもワークライフバランスの改善に取り組んでいます。

一見すると「PCを強制終了させる」なんて少し強引な気もしますが、そんな破天荒なアプローチを逆手に取ってしまうのが、いかにもハイネケンらしい遊び心ですよね。思わずクスッとしてしまうようなユーモアの中に、ブランドの個性がうまく表現されていると感じます。「ビールを飲む瞬間は仕事のことを忘れたい」「頑張った後のビールが一番おいしい」という、私たちお酒好きが心の中で思っているリアルな感覚を、見事に突いています。

何より、それを言葉だけでなく「栓抜き」という形のあるアイテムに落とし込んでいるのが、とてもスマートで素敵なアイデアだと思いました。

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