
「疲れたな」と感じた時、心を落ち着かせてくれる方法は何ですか?たくさんの情報が溢れ、目まぐるしい変化が起きている今の社会。どうしたら心を楽にできるのか。この連載では心理学者・臨床心理士の黒川由紀子さんに「マインドフルネス」を軸に、心を豊かにするためのヒントをご紹介いただきます。
マインドフルネスでは、「今、この瞬間に意識を向けます」。この時「評価や判断はしない」ことが重要です。今回は「触れる」マインドフルネスにチャレンジしてみましょう。身のまわりのものに、意図的に触れてみましょう。評価や判断はせずに「触れる」ことに注意を向けてみましょう。そして、自分が受けとる感覚をしみじみと味わってみましょう。初めて触れるような新鮮な気持ちで、まわりのものに触れてみましょう。いつも触れているありふれたものでも、あらためて意識を向ければ、新しい発見があるかもしれません。
「触れる」行為は、人間の生存やウェルビーイングにとって大事な感覚です。「もしも触覚を失ったら」と考えてみたことがありますか。おそらく自分の寄って立つところがガタガタと崩れ落ち、存在の根底が揺らいでしまうでしょう。大地の柔らかさを感じない。風の動きを感じない。水の流れを感じない。人と触れても気づかない。モノに触れても感覚がない。それは恐ろしいことではないでしょうか。「触れる」ことによって、「自分が自分だ!」という身体感覚、他者との関わり、世界とのつながりがうまれます。
皆様は、今、何に触れていますか。コーヒーカップ、パソコンのキーボード。ブラウス、時計。おでこや手のひら。触覚が全開になるのが自然の中。太陽の光、風、草、土、水の感触を肌で味わう時。それから温泉、お風呂、サウナ。足の裏から頭まで、湯や蒸気の変化に富んだぬくもりを全身で受けとれば、皮膚の表面を超え、細胞の奥まで届き、気持ちが安らぎ、魂が生き返るでしょう。
マインドフルになるおすすめのスポット
高橋是清翁記念公園(東京都、赤坂)青山通り沿い、草月会館の並びにある邸宅跡です。池や石灯籠もある落ち着いた日本庭園。ベンチが複数あり、くつろいだり、読書をしたりする人もいます。

Illustration | Sandor Zelenak
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黒川 由紀子

心理学者、臨床心理士。上智大学名誉教授、黒川由紀子老年学研究所所長。特に高齢者の心理臨床を専門とする。これまで医療機関や福祉施設等で認知症の人への心理療法を専門職やボランティアと共に行ってきた。現在回想法グループ、自分史年表講座、マインドフルネスの会、歌・音楽を楽しむ会等を運営している。年を重ねる豊かさを多世代で共有できたらよいと考えている。
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