
「サーキュラーエコノミー(循環経済)」は単なる環境規制ではなく、経済の仕組みそのものを変える政策として各国で推進されている。その中で、日本はどうなっているのだろうか。投資家などのように経済の動向や変化を注視する人々からは、どのように見えているのだろうか。
「Talk Circular × Economy」では、注目が高まっているトピックを中心に、グローバル企業への投資に10年以上関わり、ヨーロッパと日本を行き来してきたアシル・アンドレ=ホッティンガー氏の投資家として、また外国人としてのバックグラウンドを活かしたユニークな視点で見解を述べていく。その「捉え方」を楽しみながら「循環×経済」を探訪しよう。
本稿では、ファミリービジネスが循環性という概念にどのように向き合っているかを考察していく。一部の企業においては、循環性はビジネスモデルの中心を成すこともある。ファミリービジネスは、規模や業種、戦略、所有構造などが多様であるため、包括的な概観を提示することは難しい。ただし、循環性が世代を超えた長期的成功をどのように支えうるかについての事例は紹介できるだろう。
まず前提として、日本のファミリービジネスの重要性を示すいくつかの主要な数字に触れておきたい。推計によれば、日本国内の企業の95%以上がファミリービジネスであり、100年以上の歴史を持つ企業のほとんどもこれに含まれている。
ファミリービジネスはまた、非常に多様であり、必ずしも小規模なものばかりとは限らない。たとえば、トヨタ、シマノ、サンドラッグ、佐川急便といった東京証券取引所に上場している大企業の多くも、創業家によって部分的に所有されている、または支配されている。また、東証には創業から100年以上を経た企業が約600社上場しており、その大半はファミリービジネスである。
日本において循環性を捉えるうえで有効なのは、家族と企業との深いつながりがもたらす結果として見る視点である。ファミリーが自らの企業に対して持つ責任感は、単なる所有や経営の枠を超えており、すべてのステークホルダーに対する深い責任として現れることが多い。
多くの場合、企業がファミリービジネスと見なされるために、支配的な株式保有が必須であるとは限らない。日本の企業を見ていると、ヨーロッパではあまり見られない独自の特徴があることに気づく。つまり、創業家が過半数どころか、ごく一部の株式しか保有していない場合でも、ファミリービジネスの本質を保っているケースがある(本稿では、こうした企業も含めてファミリービジネスと呼ぶことにする)。
実際、創業家が資本の約10%しか保有していないにもかかわらず、企業の戦略や行動が明らかにファミリービジネスの思考様式を反映している事例を複数見てきた。多くの場合、会長やCEOはファミリーの一員であり、自らを所有者というよりは、企業の「守り手(スチュワード)」とみなしている。特に循環性に関する長期的なビジョンは、企業を時の流れの中で導くうえで極めて重要な役割を果たしている。
次に、日本の中小企業(SMEs)に注目したい。大規模なファミリービジネスは、持続可能性への取り組みによって多くの注目を集めているが、それは当然の評価であるとはいえ、中小企業もまた循環型経済の推進にとって極めて重要な存在である。にもかかわらず、こうした企業はしばしば見過ごされがちである。
循環性を取り入れようとするとき、これらの企業は独自の課題に直面する。たとえば、技術へのアクセスが限られていることや、ノウハウ不足、導入にかかる資金的負担などが挙げられる。しかし、ファミリービジネスには、何世代にもわたって構築されてきたパートナーとのエコシステムという独自の強みがある。
循環型経済の取り組みは、原材料の調達から製品のライフサイクル終了後のリサイクルに至るまで、サプライチェーン全体にわたる強固な連携を必要とするが、ファミリービジネスは、顧客、サプライヤー、地域のステークホルダーとの世代を超えた関係性を活かし、この分野で優れた実践を行っていることが多い。
これらの企業は、強い社会的使命感を持って事業を営んでいるため、安定した時期に限らず、危機の際にも地域コミュニティからの支援を受けやすい。長期的に見れば、好況期も不況期も含めて、こうしたパートナーシップを育み、維持していくことは、企業間の「循環性」とも言える関係性を生み出している。
Part2ではファミリービジネスが「家」の価値観や長期的視点に基づいて経営・資源活用・人材育成にどのような影響を及ぼしてきたのか、ということについて考察していく。
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writer |
Mr. Andre-Hottinguer

アシル・アンドレイ-ホッティンガー は、過去10年間にわたり大規模な機関投資家向けに公共株式ポートフォリオを管理してきたグローバルエクイティ投資家です。2013年から2020年まで、彼は欧州最大の資産運用会社であるアムンディでシニアポートフォリオマネージャーとして勤務し、高い信念に基づくグローバルエクイティプロセスを開発しました。2018年には東京に移住し、グローバルおよびアジアの株式チームのために、日本およびアジア企業に焦点を当てました。
アシルは、パリのHECでファイナンスを専攻し、経営学の修士号を取得しました。2022年には、フランスにおける40歳未満の才能と将来の経済リーダーを集めた「ショワゾル100」ランキングに選出されました。
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