
「サーキュラーエコノミー(循環経済)」は単なる環境規制ではなく、経済の仕組みそのものを変える政策として各国で推進されている。その中で、日本はどうなっているのだろうか。投資家などのように経済の動向や変化を注視する人々からは、どのように見えているのだろうか。
「Talk Circular × Economy」では、注目が高まっているトピックを中心に、グローバル企業への投資に10年以上関わり、ヨーロッパと日本を行き来してきたアシル・アンドレ=ホッティンガー氏の投資家として、また外国人としてのバックグラウンドを活かしたユニークな視点で見解を述べていく。その「捉え方」を楽しみながら「循環×経済」を探訪しよう。
Part 1では水資源に関する深刻な状況や、その解決に向けた課題について述べてきた。Part2では水分野における循環性を高めるために企業が提供している技術やソリューション、さらに排水処理に関する有望な新たな取り組みについてご紹介する。
企業による水使用量削減の取り組みが進んでいる。たとえば、日本の総合重工業グループであるIHIは、塗装や洗浄工程で排水を再利用している。本社では、キッチン排水などを処理して得られた雑用水をトイレの洗浄用に活用しており、環境目標の一環として、各拠点での取水量を前年度比で1%削減する目標を掲げている。
また、雨水の活用を最大化するためのソリューションも開発されている。たとえば、大林組は東京都内で「スマート・ウォーター・ネットワーク(SWN)」を開発中である。この取り組みは、現在ほとんど利用されないまま東京湾へ放流されている雨水を、新たな水資源として活用することを目指している。回収された雨水は、SWNに組み込まれた建物のシステム内や、大規模な地下貯留槽「ウォーターリング」に蓄えられ、一般的な用途向けに供給される予定である。
近年特に注目されているのが、排水の再利用に関する取り組みである。海水淡水化や飲料水の長距離輸送といった他の選択肢と比べ、再利用はコスト効率が高いケースが多い。
とはいえ、世界的に見れば、排水の再利用はまだ初期段階にある。たとえば日本やフランスでは、再利用されている水は全体のわずか1%程度にとどまるが、スペインでは14%に達している。現在のところ、処理済み排水の用途は農業灌漑が中心であるものの、技術の進歩により、浄水施設で飲料水を生産することも可能になってきた。業界大手のヴェオリア(Veolia)は、現在ではマイクロエレクトロニクスや製薬業界向けの超純水まで製造できる技術を保有していると述べている。
さらに革新的な取り組みとして、排水に含まれる「価値のある資源」の回収が進められている。排水処理を通じて、エネルギー、再利用可能な水、栄養分などの資源を取り出し、それらを堆肥、肥料、バイオ燃料といった製品に転換することが可能である。これにより、運用コストの削減、廃棄物の埋立量の削減、化学肥料の代替、そして化石燃料への依存低減が期待できる。実際に、自治体や産業界では、水やエネルギーの代替供給源として、家庭排水や下水道、地下水源からの熱回収などへの関心が高まっている。
このように、循環型経済の原則を排水処理や資源回収、再利用に適用することで、これまで「コストのかかる義務」とされてきた衛生管理が、自立的かつ価値を生み出すサービスへと転換する可能性がある。その結果として、環境保護と経済的レジリエンスという2つの大きなメリットを同時に実現できる道が開かれつつある。
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Mr. Andre-Hottinguer

アシル・アンドレイ-ホッティンガー は、過去10年間にわたり大規模な機関投資家向けに公共株式ポートフォリオを管理してきたグローバルエクイティ投資家です。2013年から2020年まで、彼は欧州最大の資産運用会社であるアムンディでシニアポートフォリオマネージャーとして勤務し、高い信念に基づくグローバルエクイティプロセスを開発しました。2018年には東京に移住し、グローバルおよびアジアの株式チームのために、日本およびアジア企業に焦点を当てました。
アシルは、パリのHECでファイナンスを専攻し、経営学の修士号を取得しました。2022年には、フランスにおける40歳未満の才能と将来の経済リーダーを集めた「ショワゾル100」ランキングに選出されました。
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